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「桂太郎没後百年・拓殖大学国際協力研究機構設立記念シンポジウム 危機の宰相」が開催されました
11月16日(土)午後2時より、「桂太郎没後百年・拓殖大学国際協力研究機構設立記念シンポジウム 危機の宰相」が文京キャンパスC館2階C201教室において開催されました。
まず渡辺利夫総長より「拓殖大学と桂太郎」と題して基調講演があり、拓殖大学創立の意義や特色について、桂太郎をはじめとして後藤新平、新渡戸稲造ら草創期の指導者の足跡や発言を辿りながら明らかにし、「国家と国民が労苦をともにした明治という時代に、国際貢献という独特の使命をもって建学されたのが拓殖大学だった」と総括しました。
続いて中西輝政(京都大学名誉教授)、工藤美代子(作家)、渡辺利夫(本学総長)、川上高司(同海外事情研究所長)、澤田次郎(同人文科学研究所長)、遠藤浩一(同日本文化研究所長=司会)各氏によるシンポジウムにうつり、「近代史を研究していて私が惹かれるのは〝三太郎〟、桂太郎・小村寿太郎・児玉源太郎だが、中でも桂の存在が大きい。今は国と民が対立するのが当たり前とされる時代だが、桂は国家安全保障と人権が繋がっていることを、大きな決断を通して示した偉大な政治家だ」(中西氏)、「大きな業績を残した政治家は例外なく自己愛を超越し、死を覚悟して事に望んでいる。困難な仕事だとは思うが、安倍首相には是非憲法改正という大業を成し遂げてほしい。それが安倍氏を再び宰相に押し上げた民意だ」(工藤氏)、「桂の功績は、①日英同盟、②国家安全保障の仕組み作り、③開戦から講和に至る日露戦争の戦争指導だと思う。アメリカが孤立主義化し、東アジアにおける日本への脅威が高まっている今日わが国はいかにすべきか、桂に学ぶべき点は多い」(川上氏)、「ニコニコ笑って相手の肩をポンと叩いたことから〝ニコポン宰相〟などと揶揄されたが、それは桂の実像とは違う。確かに調整型の政治家だったが、国際政治を俯瞰する大きな視野から政策を着実に実行に移していった」(澤田氏)といった議論に、聴衆は聞き入っていました(詳細は日本文化研究所刊『新日本学』冬号に掲載されます)。
当日は、学生、一般、本学OB、各研究所長、教職員などで会場は満席。また曾孫の桂繁太郎氏も聴講されました。会場からは「桂太郎を創立者とする拓殖大学が近現代史に果たした役割がよく理解できた」「これまでいろんなシンポジウムを聞いて来たが、今日は最高だった。歴史的な視点から今日の問題について検討する構成に感心した。もっと多くの国民が聞くべき内容だと思った」等の声が聞かれました。
掲載日:2013年11月18日