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平成24年度 学校法人拓殖大学 教職員退職者表彰式がありました
3月26日、東京ドームホテルにおいて平成24年度 学校法人拓殖大学の教職員退職者表彰式が執り行われました。本年度退職の教職員22名のうち13名の方々の出席がありました。福田勝幸理事長、渡辺利夫総長の挨拶に続き、感謝状、記念品の贈呈が行われたのち、退職者を代表して伊澤東一先生から挨拶がありました。
表彰式終了後、別室にて送別慰労会があり、髙橋副学長の挨拶・乾杯後、大学の役員、関係者を交えたなごやかな送別会となり、思い出話など名残つきないまま閉会となりました。
伊澤東一先生の挨拶
退職者送別慰労会 挨拶(謝辞)
伊澤 東一
僭越ではありますが、退職者を代表して、一言感謝の思いを述べさせていただきます。
私ども本年度を持ちまして退職するに当たり、このような盛大な慰労の宴を催して頂きありがとうございます。
拓殖大学に永年奉職し、その半生を拓大の歴史と共に歩むことができたことを、私たちは今誇りに感じています。
私ことになりますが、二週間前、私自身はイギリスにいましたが、ケンブリッジ大学の図書館で、一人の若い台湾の客員研究員と話す機会がありました。彼女はポスト・コロニアリズム・カルチャー(植民地後の文化)を研究テーマにしており、拓大の前身である台湾協会学校のことを知っていました。調査していくうちに、台湾国民の土着的な日常生活の中に今なお、日本文化のばかにならない影響、例えば生活様式や家屋建築様式の中にも少なからぬ影響が残っていることがわかったと教えてくれました。話を進めていくうちに、台湾協会学校の教育痕跡がそんなところに今なお残っていることを知り、私は教育的役割の深さに触れた思いで、感動いたしました。
私が研究の対象にしているラフカディオ・ハーンは明治23年に来日し、日本女性と結婚し長男を産み、その長男の存在で日本帰化を決意しましたが、その長男小泉一雄は、大卒後、拓殖大学の職員として勤務していました。日本がおしなべて近代化へ邁進する中、日本には西欧に負けない素晴らしい文化があると古き日本に文化拠点を置くことを日本国民に教えてくれた歴史的な役割を果たした親子です。
日本には、伝統の長さを標榜する大学が多数存在しますが、一国の歴史に関わり、その教育的痕跡を歴史に実らせてきたという意味で、拓殖大学の存在は希有かと思います。私どもが、そのような大学に身を置いて、半生を奉職できたことを、幸せに感じ心から誇りに思っています。本当にありがとうございました。
私どもは、これで羽を休めるのではなく、それぞれの思いと決意で、ちょうどこちらの島の麦畑から、あちらの島のねぐらへ一粒ずつ運ぶハトのように、残りの半生を最後の一粒まで運ぶために羽ばたき続けたいと思います。
これからもずっと拓殖大学が、歴史にかかわるような校歌第三節の「力あふるる海の外」という創立の使命を担う有為な人材を輩出し続けられますことを、心より祈念し、お礼の挨拶とさせていただきます。
掲載日:2013年03月27日