拓殖大学関連の刊行物
『謎解き・人間行動の不思議』 北原義典(工学部講師) 著
製品の研究開発に際しては、ともすれば、作る側の論理で製品開発を進めてしまいがちになる。しかし、消費者にとって本当に使いやすい製品を提供するためには、使う側の論理でモノを設計する必要がある。
それは、すなわち、人間の行動原理を分析、研究することに他ならない。人間行動を研究していると、人間のもつ能力や特性に驚かされることがよくある。実際に人間行動に関するいろいろな実験を行うと、人間のだまされやすい側面、よくできている側面など、様々なことが見えてくる。そのような人間行動の特性をまとめて、今回書籍を執筆した。
本書は、人間がモノを見たり聞いたりするうえでどんな特性をもっているのか、ものごとを覚えるうえでどんな特性を使うのか、他の人と付き合うときにどんな行動特性を示すのかなどを、実験的アプローチで説明し、楽しく学べる人間行動科学入門書である。人間行動科学は、人間の行動の原理や法則性を見出す総合的な学問である。そのために、外界からの刺激を人間に対する「入力」、その結果引き起こされる行動を「出力」とみなし、そのメカニズムをいろいろな側面から解明していくことになる。
ここで明らかにされる人間の行動特性は、ユーザインタフェースをはじめとする、使う側からみた製品設計の礎となる。本書を通じて、人間行動の不思議さ、意外性、驚きを感じながら、改めて、人間の強さ、弱さ、そして奥の深さを再認識いただければ幸いである。
出版社 / 発行
講談社 / 2009年10月20日
著者
北原 義典 (きたはら よしのり)
1955年静岡県生まれ。1979年広島大学総合科学部情報行動科学コース卒業、1981年同大学院修士課程終了。1996年東京大学大学院工学研究科にて博士号取得。2005年より本学工学部非常勤講師を務める。1987年電子通信学会学術奨励賞受賞。1989年日本音響学会粟屋潔賞受賞。
掲載日:2009年10月20日