拓殖大学関連の刊行物
『なぜ、口べたなあの人が、相手の心を動かすのか?』 北原義典(工学部非常勤講師)著
昨今、「人とうまく話ができない」「仲間とうまくやれない」「上司、部下とうまくいっていない」など、コミュニケーションに関する悩みをもつ人が増えている。大学においても、出席をとるときに返事をせずに手を挙げるだけの学生、質問をしても「風邪。」「就活。」のように単語でしか返事をしない学生、完結した文として話せない学生、、質問が要領を得ず対話もおぼつかない学生が散見される。
電車の中、コーヒーショップやファストフード店、会社の中でも、コミュニケーションの手段としてメールが主流となり、さらに、IT化やサービス向上により、電車やバスに乗るのも、ファストフード店で食事をするのも、コンビニやスーパーで買い物するのも、全てカードでできてしまうなど、終日、誰とも会話しないで、声を発することもなく過ごすことができる。これでは、人間同士のコミュニケーション能力が低下してしまうのも無理はない。私たち人間は、元来、意思疎通の多くを話すことつまり音声言語にゆだねてきた。それが変容しつつあると言っても過言ではない。
このような状況が進みつつある現在、もう一度、原点に戻って、コミュニケーションの力について考えてみることが必要なのではないだろうか。「コミュニケーション力」は、「流暢に話す力」とイコールではない。本書では、コミュニケーションという人間活動の本質を探り、コミュニケーション要素としての力を生み出す姿勢のポイントを、「ことば」「話し方」「ふるまい」という側面から、できるだけ具体的な例を示しながら紹介する。学生の就職活動指導、プレゼンテーション指導などに活用いただければ幸いである。
出版社 / 発行
講談社 / 2010年11月20日
著者紹介
北原義典(きたはら・よしのり)
1955年静岡県生まれ。1979年広島大学総合科学部情報行動科学コース卒業、1981年同大学院修士課程終了。1996年東京大学大学院工学研究科にて博士号取得。2005年より本学工学部非常勤講師を務める。1987年電子通信学会学術奨励賞受賞。1989年日本音響学会粟屋潔賞受賞。他の著書に、「謎解き・人間行動の不思議」講談社ブルーバックスがある。
掲載日:2010年11月20日