拓殖大学関連の刊行物
『過ぎ去らぬ過去との取り組み 日本とドイツ』 佐藤健生(商学部教授)/ ノルベルト・フライ 編
第二次世界大戦を同盟国として戦い、共に敗れた日本とドイツ。両国の戦後の歩みはよく比較される。日本にとっての「戦争」、ドイツにとっての「ナチズム」という過去は、過ぎ去ることなくことあるごとに両国に迫ってくる。
この過去との取り組みに焦点をあて、多面的な視点からあらためて両国を比較検証したのが本書である。研究者のみならず、映画評論家、映画監督、ジャーナリストの方々にも加わっていただき、戦後補償、教科書といった欠かせぬテーマのみならず、映画における過去との取り組みや、当事者が退場しつつある現在問題になりつつある「想起」の文化や政策についても検証した。
巻末には日独対照戦後史年表を添えるなど、従来の類書にはなかった企画も試みている。従来ありがちだった日独の優劣を論じる比較ではなく、それぞれを客観的に再検証するように努めた。
その結果、ドイツは「過去の克服の世界チャンピオン」でもなく、また日本に潜在的な可能性があることも明確になろう。
出版社 / 発行
岩波書店 /2011年1月26日
編著者紹介
佐藤健生(さとう・たけお)
商学部教授。1947年兵庫県生まれ。上智大学大学院文学研究科博士課程満期退学。1985年より本学勤務。ドイツ現代史専攻。長年にわたりドイツの「過去の克服」について、とりわけ戦後補償について日本と比較しながら研究中。主な論文に「戦後処理の日独比較」(望田幸男編著『近代日本とドイツ』ミネルヴァ書房、2007年)など。なお共編者のノルベルト・フライ氏はドイツ・イエナ大学教授で、1990年来日時には本学研究所(当時)で公開講演をされている。
掲載日:2011年01月26日