拓殖大学関連の刊行物
『海軍の世界史 海軍力にみる国家制度と文化』内藤嘉昭(国際学部教授)訳/ジェレミー・ブラック著
著者のジェレミー・ブラックは世界的に著名な歴史学者である。極めて精力的に成果を量産しており、既に100冊を超える著書を有する。中でも特に、軍事史に関する著作は分析力の鋭さで定評がある。
本書では世界の海軍を1500年以降現代に至るまでの、ほぼ500年にわたる時間軸において鳥瞰している。もっとも、ここでは一般的な海戦史にはさほど重きをおかず、むしろ海軍という大がかりな費用や技術を要する組織を基盤的に支える、国家の制度や文化に焦点を当てて考察している点が特徴的である。
他方、本邦における海軍関係の文献をみると海戦史が中心であり、特に帝国海軍に関するものが圧倒的に多い。あるいはまた、世界史レベル(海戦史ではない)で海軍を論じた書籍自体も、意外なことにほとんど刊行されていない。
本書はこうした意味で本邦には類書のない文献であり、斯界の間隙を埋める文献として位置づけられよう。
出版社 / 発行
福村出版、2014年2月5日
著者紹介
内藤嘉昭(ないとう・よしあき)
1999年桜美林大学大学院国際学研究科博士課程単位取得満期退学(学術博士)。2008年拓殖大学国際学部教授。主な著書に『観光と現代』(近代文芸社)、『観光とアジア』(学文社)、『富士北麓観光開発史研究』(学文社)など。
掲載日:2014年02月05日